LEO KOMINZ
【妄想心境】「ゴイスー女と別れた後」編
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【妄想〜ザ・アイツの心境〜シリーズ】とは?

幼い頃から日常的に、小一時間ほど窓の外を眺めぼーっと妄想を繰り広げ、両親に「この子…大丈夫かしら?」と心配をかけてきた私コミンズ・リオ。この【妄想〜ザ・アイツの心境〜シリーズ】では、体ばかり大人になったそのリオが、(おそらく)いつの日にもならないであろう「アイツら」の日々の心境に関して全力で妄想してみる、という、前置きの説明書きがついても全く解りやすくならない文章です。とりあえず読んでみ。

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週刊文春とFRIDAYが日常的に情報を届けてくれる今の時代に敢えてこれを復唱する必要はないのだろうけど、念のために言っておくと、はい、あなたが憧れているあの芸能人、普通に誰かと付き合ってますよ。どんな純粋そうに見えるアイドルも、透明感に溢れる若手女優も、誰かと付き合ってますよ。夢を壊してごめんね。でもそれが真実。だって、人間だもの。そして芸能界にいる人間のほとんどは、底なしの承認欲求を埋めるために自分の顔と体とプライベートまでをも世の中に曝け出していいと思うほどエゴ・ドライブに突きつけられた、人間だもの。しかもその承認欲求をいくらでも埋めてくれる人が周りにごまんといる、人間だもの。その中の数人と付き合ったり、恋しあったり、不倫しあったりするのは不思議じゃないでしょう?むしろ自然な流れでしょう?*1

少し話(そして口調)はズレるが、これは女子アナも同じで、例えば2チャンネルのアナウンサー板のコメントを読んだり、女子アナの名前をブラウザの検索バーに入れてスペースを押し、「〇〇 恋人」が最初に予測として出てくるのを見たりすると、声を大にして言いたくなる:「い」「る」「よ」「!!!」…てか俺が知ってるいろんな職種の中でもかなり上位のほうでいるよ!*2  ただ、もちろん恋人がいる可能性と同じぐらい、Google検索をかけた「その瞬間」には恋人はいないかもしれない。過去には絶対いたけど、なんらかの理由で、現在この瞬間は恋人と恋人の間の期間かもしれない。こと女子アナに関しては九割九分の確率で大学時代に付き合っていた人とは入社してから数ヶ月〜数年の間で別れるので、その「恋人と恋人の間の状態」は必ずどこかで現れる。そういったことを考えていると、妄想大好きコミンズはふと思ってしまう。そっか「誰か」がこの人と別れたんだな、と。

そう、今回の「妄想〜ザ・アイツの心境〜」の主人公は彼だ。ゴイスー女と別れてしまった彼。

恋愛経験が著しく足りていない私コミンズ・リオにとって、「ゴイスー女」と付き合ってる時が彼にとってどんな感じかは正直想像しにくい。と言うか、頑張って想像しても虚しくなるだけ。しかし、他人の不幸は蜜の味。別れたあとは、妄想していてこんな楽しいことはない。

女子アナとは、元々はそこらへんにいる、ちょっと綺麗めな女子大生が、何らかの形でアナウンサー試験に受かって女子アナになった、と言うもの。そしてその彼氏も、ある瞬間から、「大学でもちょっと可愛いと有名な女」から「アナウンサー=テレビに出ている人」と付き合うことになる。もう、単純に考えてこれほど男のプライドをくすぐることはないだろう。おそらく彼女がアナウンサー試験に内定した瞬間に、彼は友達30人ぐらいにはLINEで自慢しているはず。ある瞬間を持って自分の彼女が、容姿・ブランド力・自尊心の保養、全てに置いてフルパラメータに近い女性になるのだ。それこそ彼は現代に存在するシンデレラと言っていい。

しかし、シンデレラ同様、ある瞬間に魔法は溶ける。数ヶ月前までは、同じサークルとかにいる、ちょっとカッコいよくおしゃれで、内定先が有名企業であることを自慢に思っている上級生にチヤホヤされていた彼女は、女子アナになってからは突如、プロ野球選手や会社経営者や有名ミュージシャンにチヤホヤされ始める。上に書いた、「エゴ・ドライブ」の部分を思い返して欲しい。女子アナと言うのは、わざわざ大学を出て安定を欲しながらも、世の中に顔を晒して華やかな場所にいたいという選択をした人間だ。そのプライドは相当根深い。一躍社会の「勝ち組」にモテ始めた彼女は、もうキラキラと輝く「その先」しか見ていない。文字通り、世界が違う。しかも現実のシンデレラでは、フラれた彼にはガラスの靴は用意されていない。

そこで妄想する。彼はどうするのだろうか?どうやってそこから前に進むのだろうか?「俺、女子アナと付き合ってたし」と、プライドを保つため、夜、寝る前に脳内で反芻し続けるのだろうか? 新しい女性に会おうにも、元カノの「スペック」と比べてしまうのだろうか?それこそプライドを保つため、次はモデルとかアイドルを狙い始めるのだろうか?そもそもモデルとかアイドルとかってどこで出会うのだろうか?(あ、やべ、最後は心の声だったw)

…もはやあれは一瞬の神様からのご褒美で、俺なんかそんな器ではないんじゃないか?てか、今思ったらアイツ性格そんなよくなかったし。寝相も悪かったし、なんか色々やってあげてたのに全然感謝とかしてくれなかったし。朝とか普通に息臭かったし。まじ、ないわ。あいつ、ないない。やっぱり女って外見とかスペックじゃないわ。次はめっちゃ性格いい子探すわ…と、無理やり自分を納得させるのだろうか?

そして、これは所詮彼女が新人女子アナのケース。新卒の男の子にしてみれば人生の分岐点、世界の終わり、怒れるゼウスが引き起こす天変地異と感じるかもしれないが、普通の人からしてみれば新人女子アナなんて「え、誰それ?」レベルの話。これが、例えば誰もが知る芸能人だったらどうするのか。仮に長澤まさみ*3としよう。容姿もブランド力も自尊心の保養も、どれをとってもパラメータグラフで言えば全盛期のイチローの走攻守かラッキー(ポケモン)の体力値みたいな女性と付き合い、別れた場合、次はどうするのか。もう後はないのか?とりあえず「上」はないよね?てかあまりにも非現実すぎて想像するのが難しい。もはや出家?お遍路?千日回峰行??残された道は瀬戸内寂聴か?

それともそこで初めて真っ当になるのか?愛とはスペックやステータスによるものじゃないと、やっと、真に理解するのか?一緒にいて、ただただ幸せだと感じること。その喋り方や匂いや仕草、一つ一つに惹かれること。長く一緒にいるといろんなぶつかり合いはあるかもしれないけど、心のそこでは尊敬しあっていること。この人とずっと共にいたい、と思うこと。彼女という存在は、そう言うものだと…

なぁんてね。彼女は細巨乳のモデルに限るでしょ☆今度ケンジの開くパーティ楽しみ〜♪

(…とか言ってみたいぜ…はぁ。ケンジって誰やねん。)

注釈:

*1: こうやって書くと、芸能・エンタメ業界にいる人はみんなギラギラした欲望の鬼みたいに感じるかもしれないが、そういう訳ではなく(一部そういう人は確かにいるが)、どっちかというとこの承認欲求は潜在的なもの。僕が出会ったことのある数少ないこう言った業界の人たちは誰もがすごくいい人で、一緒に仕事をしてもプライベートで会っても、何一つ不快な思いをすることはない、とだけは言っておきたい。

*2: 他の業種の人がどうかはよくわからないが、テレビや広告の人たちの恋愛の奔放さには今も常にびっくりしている。

*3: こう言ったケースほど「長澤まさみ」に感謝する時はない。自分や読者にとって一番好きな女優かどうかは別として、「長澤まさみ」を例として入れれば、みんな「あー、はいはい」となる。それぞ「国民的女優」の定義ではないのか。広辞苑に入れましょう。「国民的女優:文章中の理想の女性の例として名前を入れる時に、周囲が『あー、はいはい』となる存在」

*A: ここで敢えて弁明するほどのことでもないかもしれないが、今回の文章ではかなり女子アナを一括りにしているけど、みんながみんなこうではありません!何十人と会ってきた自分の肌感だけで行くと、半分ぐらいは、すごく真面目で、しっかりしているかたです。後の半分は…もうここまで読んできたと思うので、ご想像にお任せします(笑)

text:
コミンズ リオ
illustration:
peeeeechan
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18-04-02